■音楽、ファッション、ドラッグ、ヤクザ、セックス、ケンカ……若者たちの欲望が渦巻く、東京・渋谷を舞台に、
子供から真の大人へ成長しようとする若者たちが、それぞれの夢と希望を抱きつつも、
自らの将来に対峙しようとすると不安を抱き始める。
誰もが一度は味わう挫折と悲しみ、恋愛と友情、そして孤独に包まれ、大人への新たな一歩を模索する若者たちの
リアルな日常を、魅力的で期待度満点のキャスティングとヒップホップ・サウンドを斬新にコラージュして描いた、
爽やかでほろ苦い“渋谷・青春グラフィティ”である。
■憧れのDJを夢見ながらも「現実はそんなに甘くないよ」と呟き、ピュアで優しすぎる上に現実の厳しさから逃避し
続けてしまうケン。彼の友人で、ドラッグのプッシャー(売人)のバイトを契機にヤクザ社会に足を染めていき、や
がては仲間を売ってしまうテツオ。 この半端な若者二人を軸に、彼らの周囲を様々な若者たちが通り過ぎていき、
それぞれが大人への一歩……“ウェルカム・トゥ・パラダイス”のキーワードを模索する。そしてラストに到って、
タイトルの“ガチャポン”の真意「博多弁でアベコベ、ドンデン返し」の理由が明らかになる。人生って、自分が思
うようにはならないもの……だから楽しいのさ、というすがすがしさは感動的ですらある。
■普遍的な青春物語を支える魅力の一つに、これからの邦画界を支えていくだろう若い顔ぶれと、芸達者なベテラン
陣の共演が魅力になっている。ケン役には映画 『リリイ・シュシュのすべて』『バトル・ロワイアル2 鎮魂歌レク
イエム』、TV『ヤンキー母校へ帰る』などで繊細な演技が印象に残る忍成修吾、テツオ役には『昭和歌謡大全集』、
『スクールウォーズ/HERO』の黄川田将也、二人の間で揺れ動くヒロイン役に映画『GO』『リリイ・シュシュのすべ
て』の伴杏里、ケンが憧れる年上の女性に映画『アナザヘヴン』『リターナー』の岡元夕紀子、そしてテツオに売ら
れる友人役に『海猿ウミザル』の深水元基。若者を取り巻く大人たちには、ヤクザ役で映画『模倣犯』の津田寛治、
オカマの運び屋役とナレーションに映画『踊る大捜査線2』の小木茂光らが出演。
監督・脚本を務めた内田英治は、本作が第1回作品だが、若者たちの等身大の姿を繊細に描いて早くも注目されて
いる。また音楽ラップグループ、餓鬼RANGER、ラッパ我リヤ等が出演し、DJGREENPEEACE(餓鬼RANGER)が音楽
プロデュースを担当しているのも大きな話題になっている。
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